1/6ﾍﾟｰｼﾞ目 一位 ナータさん やさしい時間 [恋愛] 夏の空は、青くて広い。 日ざしは強いのに、風はすっきりとさわやかだ。 分かってるけど、単純なのに、感動する。 ――この当たり前が、凄い好き。 ｢綺麗、だね｣ ｢うん？｣ 川沿いの木にもたれ掛かった二人は 空を仰いだ。 制服のスカートがなびく。 彼の制服姿が、たまらなく私の心を締め付けた。 夏服の解放感、私は大好き。 ｢綺麗って、この空？｣ ｢そー、それに、広いし｣ ｢俺の心も広いよ｣ ｢……馬鹿でしょ｣ ふふっと笑って、私は彼の横顔を覗いた。 やさしい眼で、愛おしそうに空を見ている。 ――この眼が…… この眼が、好き。 また空を見上げて、呟いてみる。 ｢ねえ｣ ｢んー？｣ ｢私も、好きだよ｣ ずっと答えられなかった、ずっと言えなかった言葉が こんなにも簡単にこぼれた。 二人で顔を見合わせ、微笑む。 ｢ありがとう｣ ｢うん｣ 照れた貴方の横顔が、なによりも温かかった。 貴方を好きになってよかったよ。 二人はまた、空を見上げた。 雲は風に流され、とどまることを知らない。 私はさわやかな風を頬で感じた。 手が触れる。 どちらともなく、握り合う。 きっとこれからも、このままだよね。 いつも変わらぬ、やさしい陽気で。 END [指定ﾍﾟｰｼﾞを開く] ＜＜重要なお知らせ＞＞@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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