2/6ページ目 二位 水沢ケイさん 渡せなかった手紙の話 [ダークファンタジー] ゆらゆらと風に揺れるのは長い黒髪… それはまるで日本人形のように美しかった。 ベッドの上から窓越しに見る彼女は、僕の事を知らないのかもしれないけれど 『ねぇ郵便屋さん。彼女に手紙を書くから届けてくれ』 僕は彼女を愛しく思っていた。 郵便屋は僕の視線を追ってすぐに『彼女』が誰だかわかった。 「何故手紙を書くのですか?」 『もちろん書きたいからさ』 僕が即答すると郵便屋は首を横に振った。 「手紙を届ける事は出来ません」 『……どうして?いきなり手紙を渡すと失礼だから?』 郵便屋は首を横に振った。 『別に今日じゃなくても良い。郵便屋さんが忙しくない時でも』 郵便屋は首を横に振った。 『……じゃあどうして駄目なの?』 郵便屋は口を開けば、面白い事を僕に言った。 「人形だからです」 人形…? 『あはははははは!人形だからって…ふは!彼女が人形なんてありえない』 「人形です」 『郵便屋さん、なかなかユニークな事言うね。面白いよ!あんなにさらさらした髪に柔らかそうな肌…とても人形には見えないな』 僕は可笑しくて可笑しくてまた笑ってしまった。 「人形です」 郵便屋は言葉を続けた。 「あなたは人形です」 僕は笑い声にかき消されたその言葉に 今も気付けないでいた。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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