4/7ページ目 雨とココアと少しの恋話 72pt. 璃蝶さん� [片想い] 「あーもうっ、なんで雨なんか降るかなっ!バカバカバカっ!」 美佳は窓から見えるどしゃ降りの空に向かって思いっきり舌を突き出した。 「そんな事言ったって自然現象なんだから、仕方ないでしょ。」 食器棚からマグカップを2つ出しながら、誠はそんな美佳を宥める。 「だって!今日二人で出掛けようねって、鎌倉行こうって、約束してたんだよ?!先週から楽しみにしてたのにぃ!」 美佳はジーパンのポケットから携帯を出して、朝一に届いたメールを読み返した。 彼氏からの、今日の外出の断念を呼び掛けるメール。 美佳はパチンッと携帯を閉じ、空を睨み付けたままう゛〜〜と呻いた。 「美佳、逆向きに椅子に座るのは行儀が悪いよ。」 誠がホカホカのココアを2つトレイに載せてキッチンから出てきた。 「わあっ、ココア!」 誠の声に座り直した美佳は、お気に入りのピンクのマグになみなみ入れられたココアを見て歓声を上げた。 「誠ちゃんのココア大好きー」 今泣いたカラスが何とやら。 幸せそうな表情でココアをすする美佳を見て誠はニッコリ微笑む。 美佳は一気に半分ほどを飲み干し、満足気に息をついた。 「まぁ、今日はこのココア飲めただけでも良しとするかなぁ。でも悔しいなぁっ、今日持っていこうと思って新しいバッグも買ってたのに。」 「またいつでも機会はあるじゃない。」 熱いココアをちびりちびりと飲む誠の表情は心なしか嬉しげだ。 「そうだけどぉ…。折角一緒に遊べると思って、前の日の晩ドキドキしながら準備してさ。朝起きたらどしゃ降りのこのやるせなさ。イナイ歴イコール年齢の誠ちゃんには分からないかなぁ?」 「悪ぅございましたね。」 誠は肩をすくめる。 彼のココアはなかなか減らない。猫舌なのだ。 「ていうかさ、何で誠ちゃん彼女イナイの?顔もまあまあだし気配りも利くから絶対モテると思うんだけど。」 「そう?」 「そうだよ。いとこじゃなかったらちょっと付き合ってみたいもん。」 「ちょっとかよ。」 美佳の言葉に誠は不満そうに眉根を寄せる。 「まぁ私には理想のカレが居るし?」 「さいですか。」 「でもほんとに何で居ないの?」 無邪気に尋ねる美佳に誠は小さくため息をつく。 「好きになった人がいたとしても、向こうが恋愛対象だと思ってなかったら彼女には出来ないでしょ…。」 呟くような誠の言葉に美佳が歓声をあげる。 「何、誠ちゃん片思いなの?!じゃあ協力してあげる!ね、ね、誰が好きなの?!」 美佳の言葉にも一つついた誠のため息は、相手に届かぬまま宙に消えていった。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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