2/8ページ目 煙突の中に住んでいたので空は丸く切り取られていました 65pt. キョウさん� [ダーク お題提供腐乱犬] もう俺は何年もここにいる。 きっとこれからもこの中に住み続けるだろう。 本当の持ち主なんて知らねぇ。 だって俺はここしか居場所が無いのだから。 俺の自慢の一張羅はもう限りなく黒に近い灰色になってしまった。 不衛生に伸びた髪の毛や髭は汚く煤けていた。 ベタベタとした不快感にはもう慣れてしまった。 「おい神様、俺が一体何をしたっていうんだい」 上を見上げて、俺は唾を吐きちらしながら神を罵った。 唾は俺に向かって落ちてきた。 良いシャワーだこのチクショウが。 この時期になると外からあの忌ま忌ましい歌が聞こえる。 あぁやめろ!気が狂っちまう!! 俺は歌を掻き消したくて暴れ回った。 もともと体育座りでなんとか収まっていた空間に、手足をこれでもかと思うくらいばたつかせた。 これももう、毎年の事だ。 壁には俺が引っ掻いた傷やひび割れた跡がちらほらあったが、また灰で埋まっていった。 俺はもう何もなかった。 相棒ももう俺の腹の中だ。 外から今度は人の声がする。 「ねぇ、何か声がする、暖炉がある部屋からよ」 「別に大丈夫さ。 あそこの部屋は何も置いていないし、扉も厳重に鎖や鍵をかけておいた」 「じゃあ、私達の部屋に入ってこれる人はいないわね」 「もちろん。 あの部屋には入ってきても盗る物も無いし、もう二度と外には戻れない」 「私達に助けを求めない限りね」 「その時は、その侵入者で美味しくディナーでもしようか」 「えぇ!とっても素敵! あ、そうだあなた。 私そろそろ少女の大腸で出来たウィンナーを作りたいんだけど……」 もう俺は何年もここにいる。 きっとこれからもこの中に住み続けるだろう。 本当の持ち主なんて知らねぇ。 だって俺はここしか居場所が無いのだから。 俺の自慢の一張羅はもう限りなく黒に近い灰色になってしまった。 不衛生に伸びた髪の毛や髭は汚く煤けていた。 ベタベタとした不快感にはもう慣れてしまった。 「おい神様、俺が一体何をしたっていうんだい」 俺は上を見上げて、呟いた。 煙突の中に住んでいたから、空は丸く切り取られていた。 自由にトナカイの相棒と飛び回り、人々にプレゼントを配っていた日々はもう忘れた。 あの視界いっぱいに捉えきれない大空を、俺はもう忘れた。 暖炉の煙突には、苔や灰がへばりつき、つるつると滑って登れなかった。 ………………………… 「お母さん、今年もサンタさん見れなかったぁ。 やっぱりサンタクロースなんていないんだね」 「当たり前でしょ。 さ、早く勉強しなさい。 今度のテストで90点以上とれたら、クリスマスプレゼントに何か買ってあげるわ」 『18XX年、12月24〜25日、貴族の歪んだ道楽によりサンタクロースは姿を消した。』 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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